恋する銀行員

元メガバンクの社畜が紡ぐ物語

【恋する銀行員】第5話『研修初日』

第5話

『研修初日』

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初めての人は第1話からどうぞ

 

 

higumaaa.hatenablog.com

 

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前話あらすじ

 

入社式を終え、

北朝鮮マリオネット兼銀行員として

僕は走り出すビクンッビクンッ

 

higumaaa.hatenablog.com

 

 

 

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入社式を終え、僕たちは研修所に帰還。

 

その日は何事も無く過ぎていった。。。

 

そして研修初日

 

我らが研修9組は、

僕を含めた

 

金総書記系男子3名

愉快なソルジャー36名

 

の合計39名で走り始めた。

 

 

(内女性は10名)

 

きっと何かが起こる!

 

そんな期待を胸に研修が始まる。

 

 

 

 

僕の隣の席はN込君という

 

ガタイマックス

のガチムチ系男子だった。

 

しかもめっちゃイケメン

 

 

流石のガチムチ系体育会企業の

M銀行である。

 

 

周りも心なしかガタイマックス系男子ばかりだった

 

 

スポーツジムのインストラクターをしていた、

僕が

ひ弱なマッチ棒

に見える人員編成だった。

 

 

入社直後の新社会人にありがちな、

 

やる気MAX

野心MAX

意識高い系MAX

 

の病に犯され、終末患者となっていた僕は、

 

 

 

「ガタイで負けるなら。。。」

 

 

「コミュニケーション能力で勝負だ!」

 

 

とデュエリストばりのメンタルでN込君に声を掛けた。

 

 

・・・

 

 

 

僕は圧倒をされた。

 

 

 

 

彼は日東駒専大学という

 

学歴ちょっぴり弱い系男子だったが、

 

学生時代の話を聞くと

 

 

 

「テニスの世界ランカー」

 

 

というガチムチな学生時代に頑張った事を教えてくれた。

しかも、

特に自慢する事も無く

 

無垢

ピュア

善人

 

のような眼差しで教えてくれた。

 

 

 

僕の学生時代に頑張った事は、

 

「スポーツインストラクターで周りをファンにしてきた」

 

という

当時は

「なかなかイケてる無形商材系男子」

と勘違いしていた僕を現世に導いてくれた。

 

 

 

ふと周りを見回すとガチ勢の集まりだった

 

 

 

研修初日ならではの自己紹介では

 

東大

京大

阪大

名大

の学歴ガチ勢

 

K応大学 野球部 4番 

日ハム斎藤佑樹からホームランをカチ込む

体育会ガチ勢

 

 

親が会社経営

資産ガチ勢

 

など突き抜けまくっているやべえ奴らの集まりだった。

 

 

僕は自分を恥じた。

悲しくなった。

 

学歴:マーチ大

実家:そば屋

バイト:スポーツジム

野球:好き

髪型:総書記

 

 

というスペックで、

世界最強ガチムチ銀行の

M銀行に

デュエルをしようとした自分に悲しくなった。

 

 

唯一勝てるのは、

 

金総書記ばりの髪型だ

 

 

 

 

と思ったら僕以外にも2人もいる。。。

 

 

 

 

「もうやめて!ヒグマのライフはもう0よ!」

 

 

 

 

 

結局僕は勝てないのだ

 

完全に心が闇のゲームの敗北者のように

抜け殻となってしまった。

 

 

 

マインドゼロでぼーっとしていると

 

 

 

「前をみろおおおおおお」

 

 

 

どこかで聞いた声に頭より先に

カラダが反応したビクンッビクンッ

 

 

そこには

S級妖怪と見間違う

我らが9組の講師

I講師とK講師が鎮座していた。

 

 

彼らからは「後光」?

 

いや

 

彼らの手には

「少年ジャンプ」

が握られていた。

 

 

 

今から何が始まるのか?

疑問が頭をよぎった刹那

 

 

 

「この中にいいいいい、漫画を捨てたやつがいるううううう」

「ふさわしくないいいいいいい」

「ふさわしくないずおおおおおおおお」

 

 

 

とお怒りの声がこだました。

 

どうやら、昨日の入社式後

 

研修所に漫画を持ち込み

ゴミ箱に漫画を捨てた奴がいるそうだ

 

 

 

 

 

 

???

 

 

 

 

 

 

きっと正常な読者のみんななら思うだろう

 

「何か問題があるのか?」

「てか、ゴミ箱チェックするの?」

「え、やばくない???www」

「僕たちもう22歳なんですけどーwww」

 

と。

 

 

 

 

 

しかし僕らはすでに教育済の北朝鮮マリオネットである。

僕の脳裏には

 

「なんて事をしてくれたんだ」

「ジャンプはだめなのか?」

「マガジンは?サンデーは?」

「少年雑誌がダメならヤングジャンプならイケるか?」

「プレイボーイは?」

「ザ・ベストは?」

「デラべっぴんは?」

「大人の本ならイケるか?」

 

 

と一般常識とは掛け離れた、

 

法の抜け穴のみに思考が回っていた。

 

 

 

 

そこから30分間。

 

僕たちは

 

 

「銀行員とはなんぞや?」

 

 

という哲学について

S級妖怪から講話を頂戴した。

 

 

 

 

研修初日は

自己紹介と哲学にて終わった。

 

身も心もプライドもズタボロである。

 

ボロ雑巾のようになり初日を終える事が出来た。

 

研修所の宿泊施設に戻り

 

そっと

キャリーケースに目をやる

 

「少年ジャンプ」

 

漫画を持ってけば同期と仲良くなれる

そう思って連れて行った相棒は

きっと陽の目を見る事無く

土に還っていくのだろう

 

 

そんな哀愁に想いを馳せながら

 

「明日からも頑張ろう」

 

と僕は布団に入った。

 

 

つづく

 

 

 

higumaaa.hatenablog.com

 

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