恋する銀行員

元メガバンクの社畜が紡ぐ物語

【恋する銀行員】第1話『僕は銀行員』

第1章 

衝撃!新人研修編

第1話

『僕は銀行員』

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プロローグ

時は2010年4月。

世は前年のリーマンショックの影響をもろに受ける就職氷河期。

 

激しい就活競争を勝ち抜き、銀行員として一歩を踏み出す主人公「ヒグマアキノリ」。

これから始まる圧倒的社畜人生を彼はまだ知らない。

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僕はヒグマアキノリ。

大学はMARCH大学。

小さな頃から高校までは決して強くない野球部。

大学は野球サークル。

どこにでもいる22歳の新社会人だ。

 

運良く就活戦争を勝ち抜き、今年の春からはM銀行に入社する。

 

そう、みんなが憧れるメガバンクに入るのだ。

内定後、心の中では、「勝ち組や!」と内定後からずっと叫び続けてきた。

 

ネットで沢山調べた。

【銀行は人気企業】と。

 

ネットで沢山調べた。

【銀行員は年収が良い】と。

 

ネットで沢山調べた

【銀行員はモテる】と。

 

友達からは

「すごいね!」

「よく入れたな!」

と言ってもらえた。

ただ僕は謙虚、謙遜、誠実、真面目系男子だ。

そんなウキウキマインドを一切表に出さず、

 

「そんなことないよ!」

「運が良かったよ!」

 

と少しだけニヤニヤしながら連呼していた。

 

 

そう周りから見たら、ただの謙虚な変態くん。

絶対に友達にはしたくない人間だ。

 

 

ただ不安の方が大きい。

ネットを見れば常に「激務ofゲキム」の上位に登場するのがメガバンク。

 

調べれば調べるほど「激務」「鬱」「自殺」「過労死」「不倫」など、気になる言葉が予測検索に出てくる。

 

特に「不倫」には興味深々だ。

 

加えて僕はMARCH大学。決して高学歴では無い。

ネットを見れば「兵隊」「ソルジャー」「特攻隊」とちょっとカッコイイ死亡フラグワードが沢山出てくる。

どうやら僕は決して出世する事なく一生を終えるようだ。

 

僕は想いを馳せる。

「セミだ。」

「僕はセミなんだ。」

 

7年間土に篭り。

ただ外に出る事を夢に見続け。

いざ羽ばたかんと、土から這い上がり。

「もうすぐ地上だ。」

「もうすぐ交尾だ。」

そんな夢を見続けたセミ。

 

そんなセミの目の前に立ちはだかる。

 

今年から舗装されたアスファルト。

 

圧倒的不条理。

決して突き破る事の出来ない壁。

そこでふと想う。

「僕の7年間はなんだったんだろう」

 

そして、陽の目を見る事なく一生を終えるセミ。

「それが僕だ。」ミンミン

 

そんな、ワクワクと不安が入り混じり、様々な思いが巡る4月1日。

僕は銀行員となる。

みんなが憧れるメガバンクの一員となる。

 

これは銀行員として駆け抜けた一般人が、謎だらけの銀行について。

ほんの少し分かり易く

ほんの少し面白く

ほんの少し真面目に

伝える。

どこにでもある物語。

 

そして物語は、

「圧倒的社畜人生」の第一歩は予想の斜め上。

衝撃の連続の新人研修からスタートする。

 

続く。

 

higumaaa.hatenablog.com

 

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